My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「ね、ねぇラビ…ハロウィン仕様って言ってたよね…」
「ああ…ってことは、あれって…」
「悪魔(デーモン)、と言った辺りでしょう」
パニックに陥るアレンを見守りながら、ごくりと生唾を呑み込む雪とラビ。
そこへ回答したのは、一人冷静なリンクだった。
「なんかある意味アレンにぴったしかも…!」
「何言ってんのラビ!私達もああなっちゃうかもしれないんだよ!?」
「大丈夫だよ、ねーちゃん。他のエクソシストの皆も同じ悪戯に掛けたから、仲間はいるから。安心しなって」
「ええー!?」
「何やってんさティモシー!」
「だーって、だーれもハロウィン覚えてなかったんだぜ。忘れてる皆が悪いっての!」
まさか他のエクソシスト面々も被害に合っていたとは。
更に顔色を悪くする雪の元へ近付く人影に、いち早く気付いたティモシーが、ああと顔を上げた。
「ほら、雪ねーちゃん。あっち」
「?」
ティモシーの指差す先を目で追えば、被害者の群の中から出てくる、真っ黒な団服姿が見えた。
「やっと見つけたぞティモシー!いい加減元に戻せ!」
「う、うぅ…ッこんな姿、恥ずかしくって耐えられないわ…!」
顔を真っ赤に覚束ない足で進む女性を支えながら、駆けてくる大柄な男性。
渦中の人物、エクソシストであるマリとミランダだった。
「わー…ミランダさん可愛い。何あれ。猫耳付いてるんだけど。可愛い」
「黒猫(ブラックキャット)でしょうね」
「マリの顔に縫い目が見えんだけど…なんさアレ」
「人造人間でしょう」
「あ、それ知ってる。フランケンシュタインですよね?確か」
「いいえ。フランケンシュタインは彼を作り出した博士の名前で、人造人間に名はありません」
「成程…流石リンクさん」
「つーか冷静さな、ホクロ二つ」
震えるミランダの頭には、ぴょこんと真っ黒な猫耳が二つ。
背後で縮んでいるのは、真っ黒でふさふさの長い尾。
愛嬌が見えるその格好は、単なるコスプレ衣装に見えなくもない。
隣に立つマリの肌にはあちこち痛々しい縫い目が見えるも、本人は痛みを感じていないらしい。
頭から突き出ているボルトネジは、一体全体どういう仕組みで繋がっているのか。
コムイの薬の威力が測り知れない。