My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「へんっ!トリック オア トリートってちゃんと聞いただろ!お菓子をくれなかったから悪戯だいっ!」
「悪戯ってお前…!」
「度が超えてんだろ!」
「室長が一日経てば戻るって言ってたから、平気だろー」
「な、何ィ!?室長だと…!?」
「やっぱあの巻き毛が関わってんのかよ…!」
「あの人は子供に何やらせてんだッ!」
「まぁまぁ、落ち着きなさいよアンタ達。所詮は子供の悪戯でしょ?」
やはりこの異常現象の元凶はコムイなのかと、怒りに震える一同に冷静な声を掛けたのは、この場のドンとも言える人物。
黒の教団料理長である、ジェリーだった。
「コムたんは仕事漬けなアンタ達が少しでも行事で楽しめるようにって、そう願って魔法の薬を使ったのよ」
「何が魔法の薬だ、毒薬の間違いだろ!?」
「仕事の邪魔してるだけだから!つーかあの巻き毛が仕事しろっての!」
「まぁったく!心の狭いオス共ね。折角可愛らしいハロウィン仕様になったってのに。アタシが更に着飾ってあげましょうか?ン?」
屈強な腕の筋肉を盛り上げてボキボキと拳を握るジェリーに、反論していた団員達の勢いが弱まる。
ひぃっと悲鳴を上げながら後退る彼らを前に立つジェリーはどうやら、親友であるコムイ側の人間らしい。
なんとも面倒な人物を敵に回してしまったものだ。
「え…ちょっと待って。それって…つまり、」
「オレ達もああなっちまうってことさ…?」
「わぁあ!?」
「!?」
「ど、どうしたのアレン!」
一同を見守っていた雪達も、自分の身に振りかかった事態を把握して青褪める。
刹那、アレンから悲鳴が上がり何事かと雪とラビは目を剥いた。
「あ、頭に何か生えて…!なんですかこれぇえ!?」
「げぇ!アレンの頭に角が生えてんさ!なんかスゲー見覚えあるやつ!双子のノア相手に借金地獄でキレてたアレンに生えてたやつ!」
「何それ…って尻尾!アレン、尻尾も生えてるよ!?」
「ええぇええ!!!」
慌てふためくアレンの真っ白な頭。
そこににょきりと覗く、太いとぐろを巻いた硬そうな黒い角。
お尻からにょろりと伸びているのは、鞭のようなしなやかさを持った先の尖った黒い尾。
どう見ても普通の人間には生えるはずのないものが、そこに出現していた。