第45章 10/31Halloween(番外編)

「別にそのクッキー、危険物なんかじゃねーし。何焦ってんの？」

「焦りもするさ！コムイが一枚噛んでんなら、ぜってーただのクッキーじゃねぇから！」

「う…駄目だ飲み込んでしまった…！どうしようリンク！」

「そうやってすぐ食べ物とあらば食い付く貴方が悪いんですよ、ウォーカー。とりあえず骨は拾ってあげますから、潔く死んできなさい」

「死刑宣告！？リンクさん見限るの早過ぎない！？」

「貴女の骨はトクサ辺りが拾うでしょう、月城雪。安心なさい」

「寧ろ安心できない！嘲笑って踏み付けてくだけだからトクサなら！」



ぎゃあぎゃあと顔色悪く慌てふためく雪達に、ティモシーは一人冷静なまま、ひょいとバスケットを取り上げた。



「だから大丈夫だって。ちょっとハロウィン仕様になるだけだから」

「は？…ハロウィン…？」

「仕様…？」

「な…何、言ってんさ…」



その様子だと、彼はクッキーの効力を知っているらしい。
ギギギ、と錆び付いた機械のように首を傾げる雪達に、けろりとしたまま。



「言っただろ、トリック オア トリート。お菓子がねーんなら悪戯するまでだ」



にぃっと無邪気な顔で、ティモシーは笑った。



「ティモシィイイイ！！！！」

「お前何入れたんだあの菓子に！」

「絶対お前の仕業だろぉおお！？！！」



それはタイミングを見計らったかの如く。
ドタバタと血眼にティモシーを捜してか、食堂へ雪崩れ込んできたのは、朝方ティモシーが悪戯して回った教団内の団員面々。



「な…何あれ…」



彼らの姿を見た雪は唖然とした。



「なんだこれ！牙なんて生えてんだけど！」

「オレなんて尻尾生えたぞ尻尾！」

「か、体に縫い目がぁああ！？！！」



顔を怒りや恐怖で赤や青に変えながら、血相を変え主張する。
その誰しもが普通の人間とは異なる風貌へと、変化していた。

ある者はクロウリーのように鋭い牙を持ち、ある者は上半身や下半身を獣のように変え、ある者は体中に痛々しい縫い目の跡が刻まれている。
その他にも一言では言い表し難い風貌へと変わった面々が、声を張り上げ泣き叫ぶ。

一体これはなんなのか。