My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「そういえばティモシー、その恰好何?」
「あ、これ?ねーちゃん、なんに見える?」
「…怪盗Gの新衣装?」
「違ぇし!もう怪盗稼業は廃業だってッ」
雪の背中から離れて、その場でくるりと回ってみせるティモシーは、裏地が真っ赤な黒マントに下はフリルの付いたブラウス姿。
両手には白い布手袋に、足元には尖った黒い靴。
以前の怪盗Gのコスプレに比べれば、随分と路線変更したものだと頷けば、即否定された。
どうやら怪盗Gの新衣装ではないらしい。
「トリック オア トリート!」
「トリック…ああ!今日ハロウィンだったっけ!」
「ってねーちゃんもかよ…」
軽い身のこなしでくるりと回って、椅子の上に飛び乗る。
ずいっと目の前に差し出されるティモシーの両手を見て、ピンときた雪は回答を弾き出した。
今日は10月末日。
元はヨーロッパが起源の、秋の作物の収穫を祝い悪霊を追い出すとされている祭りだが、長い年月を経て子供が主役となる仮装イベントとなった。
予想していた反応ではあったが、それでもティモシーはガクリと項垂れた。
此処でもそうか、と。
「どーせ皆忘れてたんだろ?」
「そういえば…。ハロウィンなんて、子供の頃見てるだけで参加したことなかったですから」
「そーいやそーさなぁ…」
「じゃあ今から参加すればいーじゃんか。あんちゃん達だってまだ子供だろっ」
「つっても、菓子強請るような歳でもないさ」
「僕は欲しいですけどね、お菓子」
綺麗に朝食スイーツのプリンを平らげて尚、菓子が欲しいと主張する。
大食漢なアレンらしい応えに、ティモシーは目を輝かせた。
「じゃあさ、じゃあさ!オレと一緒に仮装して悪戯行こーぜ、あんちゃん!」
「…だから朝一で悪戯なんてしてきてたんですか…」
「だってだーれもハロウィン覚えてねーんだもん…お菓子くれないなら悪戯されても文句言えねーっての」
むすりと口を尖らせるティモシーの言葉は正論ではある。
落ち込む少年を責める訳にもいかず、誰もが苦い笑みを浮かべる中。
「お、」
得意な観察眼で、ラビが"それ"を見つけ出した。