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My important place【D.Gray-man】

第45章 10/31Halloween(番外編)



同じ"ノア"という記憶に囚われているからこそ。
アレンのその気持ちが、知りたい。



「………」

「雪さん?なんですか?…もしかしてプリン、嫌いですか?」



中々先へと言葉を進められない雪に、隣の席に座っていたアレンが心配そうに覗き込む。
そんな彼の白い頭越し。



「………」



見えたのは空気のように気を静め、横目を向けてくるリンクの姿だった。

目が合った訳ではないのに、感じる視線。
見張られている。
その実態に、本音は喉の奥へと呑み込んだ。



「ううん…プリン好きだよ、頂くね。ありがとうアレン」



笑顔で礼を言い、自然な形で己の朝食と向き合う。
千切ったパンを口に押し込みながら、食べることに集中した。



(駄目だ…リンクさんが傍にいるから、下手な話はできない)



アレンと意味深なノアの話など交えようものなら、教団に危険視されるのはわかっていた。

以前に比べ少しずつ性格も丸くなり、教団へと馴染んできたリンク。
しかし彼はやはり中央庁の人間。
アレンを監視する役目を担った人物なのだ。
敵の方舟を操れただけではなく、14番目のノアメモリーを保持する者を、一番近くで見張る為に。

監視される側。
今ならわかる、その立場。
常に見張られているような、明確な一線を感じる。
狭くて窮屈な足場に立たされているような孤立感。

足元を暗い闇で覆われているような気分だった。






「雪ねーちゃんっ!」






そこへ突如舞い込んだのは、自然と下がってしまった空気を跳ね退けるような明るい声。
同時にどすっと背中に衝撃を感じて、雪は驚き振り返った。



「ティモシーっ?」



目に飛び込んできたのは、鮮やかな明るい青翠色の髪。
背中にぎゅっと抱き付く小さな少年は、ニッと特徴的な八重歯を見せて笑った。

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