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My important place【D.Gray-man】

第44章 水魚の詩(うた)



「当たり前だろ。女は男より厄介な体してんだろうが」

「ユウ…」



自分の体のことなのに、んな暢気でどうすんだよ。
つい呆れて溜息が出る。
いくら理性が吹っ切れて欲に呑まれようが、それで大事なもんを傷付けてたら元も子もない。

…いや…無理矢理イマラチオしてる時点で、傷付けてねぇかって言えば…嘘になるかもしんねぇが…。
………境界線が難しい。
が、とにかく。
越えちゃいけない一線ってもんがあるだろ。
今回のそれは、きっとその一線だ。



「ありがとう」



雪にイマラチオのことを突っ込まれれば返す言葉がない。
どう反応されるかと内心冷や冷やしていれば、向けてきたのは優しい微笑みだった。

ほっとする。

耐え性があるからかわかんねぇが、こいつの包容力は時に感心させられる程だと思う。
教団で体を弄られ血の実験を強制させられても、同じ教団の者を受け入れてファインダーとして務めていることや。
散々叩いて殴って罵声を飛ばしてサンドバック代わりにしていた俺のことも、受け入れてくれる程になった。

こうして改めて見れば、雪は凄い奴だと思う。
ノアでありながらも、教団に体を傷付けられても、雪が求めたもんは教団のエクソシストである俺。
中々心を開いちゃくれないが、一度出し切った思いは真っ直ぐに貫いてくる。

こいつのこの芯の強さは、一体どこから───



「でも大丈夫だよ。私ピル飲んでるし」

「………は?」



思考がピシリと止まった。



「だから、ピル。避妊薬。知らない?」

「……知ってる」



雪が向けてきた内容が、俺の予想を遥かに越えてきたからだ。

ピルって……初耳だぞオイ。

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