My important place【D.Gray-man】
第44章 水魚の詩(うた)
「───ん…っ」
ベッドに伏せて寝かせた雪の項に、髪を掻き上げながらキスを一つ。
細い首筋から背骨を辿るように、背中の中心を唇で這っていく。
目で確認できる傷跡はどんなに小さなものでも、愛撫するように一つ一つ口付けて。
微かな雪の吐息を耳にしながら、知らなかった黒子の位置や肌の色なんかを、脳裏に刻むように目に映した。
視界に映り込む白い下着。
俺には雪の肌を隠す邪魔なもんでしかなくて、伸びた手は簡単にホックを外していた。
「っ?何して…っ」
「全部見せろって言っただろ」
「そ、うだけど…っ」
「隠すなよ」
「…む、胸に傷なんてないよ…」
体を伏せていた雪が、驚いて振り返る。
下着の紐に指を引っ掛けて軽く引っ張れば、簡単にするりと下に落ちていく。
だがその胸の膨らみを俺の眼下に晒す前に、雪の両手で覆われてしまった。
「わかってる」
雪の照れ癖なんて今更だ。
想定内の行動に過剰な反応は見せず、優しくその腕に触れた。
「俺が見たいんだ。雪の全部」
「…っ」
小さな力で、促すように胸の前で覆っていた腕を解く。
息を呑んで体を硬直させたものの、雪は嫌がる素振りを見せなかった。
ゆっくりと解かれる腕に、俺の目の前に晒される胸。
もうその頂を隠す下着はないものの、胸の上で横たわる雪の両手首の鎖が視界を遮った。
…この鎖、地味に邪魔だな。
「あ…」
握った両手を一つにまとめて、雪の頭上でシーツに押し付ける。
引っ張られた鎖が肌から落ちてシーツに転がる。
これで邪魔なものはない。
はっきりと俺の目に映し出された雪の胸は、予想していたものとは違っていた。
…上手く、言えねぇけど。
なんつーか…未知のもん。
柔らかな坂を作る胸の頂きには、控えめに主張してくる薄い二つの突起。
緊張か興奮かわかんねぇが、ぷくりと敏感に反応して既に硬くなっているのが見てわかる。
二つの、胸に咲いた花の芽みたいだ。