My important place【D.Gray-man】
第44章 水魚の詩(うた)
鼓動が高まる。
そっと胸の形を辿るように、指先で触れるか触れないかの距離で撫で上げれば、ぴくりと花の芽が震えた。
…こうもはっきり見えると可愛い反応だな、これ。
「相変わらず敏感だな」
思わず笑みが漏れる。
「っ…だって、ユウが───」
「俺を煽ってんのは雪の方だからな」
羞恥心が高まればいつも"ユウの所為だ"と主張していた雪だから、続く言葉なんてわかり切っていた。
だから最後まで聞き終える前に遮る。
俺の所為だってよく言ってるが、原因はお前にもあるからな。
仕草も声も、欲情して立つ肌の匂いだってそうだ。
そのどれもが俺の欲を煽って誘ってんだよ。
「そういう反応されたら止まんなくなんの、わかってねぇだろ」
それも無自覚のもんだからタチが悪い。
どんなにスタイルが良い女だって、体に惹かれて性欲が湧いたことなんてないのに。
雪の優艶さに当てられると、簡単に欲情してしまう。
…それに、雪に欲がないと言えば嘘になる。
俺から誘うことは多いが、欲すれば応えてくれる。
雪にだって俺を求める"欲"があるはずだ。
それを引き出すように耳元で低く囁きながら、ふわふわと柔らかい雪の胸を掌で包んだ。
「っ、待っ…て」
感触を味わうように優しく撫で上げていると、逃れるように身を捩らせる。
んだよ。
任務後の約束の中には、このことも入ってただろ。
ハグもキスもして体の繋がりだけはナシなんて、そんな阿呆なこと言うんじゃねぇだろうな。
「ぃ、いくらなんでもこんな所で…ッ誰かに見つかったらどうするのッ」
「………」
…成程な。
確かにそれは一般常識らしい意見だった。
だが、
「見つかんねぇよ」
却下。
それくらいの理由じゃ止める気になんねぇ。