My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「雪さん…ッ!」
神田が謎の緋装束の男に刃を向けている間、アレンは迷いなく札に捕われた雪の元へと駆け寄っていた。
「くそ…ッこの!」
退魔の剣をドーム状に覆っている札の塊に突き立てる。
神田が奇襲をかけたお陰か、どうにか札の盾を破くことができた。
「雪さんッ!」
むわっと一斉に立ち昇る黒い煙。
その中を覗き込めば、大量の札に体を縛られ倒れている、渦中の人物を見つけることができた。
退魔の剣の発動を解き、両腕でしっかりとその体を抱き上げる。
「っ…」
体の至る所にびっしりと札が張り付いていたが、その姿は辛うじて視認することができた。
肌に焦げ付いた痕は見えるが、致命傷に成り得そうな大きな傷は見当たらない。
急いで自分の手袋を剥ぎ取って、首筋と手首に指先を当てる。
脈はある。
しかしアレンの顔はほっと安堵の色は見せず、強張り引き攣っていた。
褐色の肌。額の聖痕。
金色の眼は、今は閉じられていて見えない。
アレンは間近で何度も"彼ら"と接触し、戦闘を交えてきた。
だからこその確信。見間違えようがない。
「……なんで…」
これは、ノアの姿だ。