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My important place【D.Gray-man】

第42章 因果律


 ✣ ✣ ✣ ✣






























 結界の張られた、暗い闇の世界。
 其処にもうAKUMAはいない。
 しかしAKUMAとはまた別の問題を抱えた人物が一人。

 長い沈黙だった。
 恐らく時間にすれば訳はない。
 それでも雪にとって、肌を伝う汗の冷たささえも感じ取れる程、長い沈黙に感じた。


「………なんだそれ…?」


 その重い沈黙を破ったのは、幼いティモシーの声だった。
 息を呑み言葉を詰まらせるリンクの体から離れて、恐る恐る雪に歩み寄る。
 不安げな表情から、ぱっと一瞬にして変わる。

 笑顔。


「もしかしてねーちゃんもエクソシスト!? すっげぇ!」

「…っ」


(違う)


 とは言えなくて。
 笑顔で駆け寄るティモシーに、雪はぐっと唇を噛み締めた。


「待ちなさいッ」

「ん? なんだよあんちゃん」


 ティモシーの腕を、リンクが掴み止める。
 怪訝に振り返るティモシーに複雑な表情で返して、やがてその目は緊張した色で雪へと移し変えられた。


「あれは……彼女は、エクソシストではありません」


 リンクの目に映る雪の姿。
 全身褐色の暗い肌に、鮮やかに光るような金色の眼。
 そして前髪ではっきりとは見えないが、その隙間から垣間見える痕は、間違いない。

 十字の聖痕。

 それは資料で見たことのある"彼ら"と、全く同じ姿を成していた。


「何言ってんの? だってねーちゃん、あのAKUMAを倒したんだよ。イノセンスってやつじゃなきゃAKUMAを倒せねーんだろ?」

『…マスター。あれはイノセンスやない』

「え?」


 きょとんと首を傾げるティモシーに、傍を浮遊していた憑神がじっとその目に雪を映して首を横に振る。


『ワイ自身がイノセンスやねんから、感じる気配でわかる。あのねーちゃんはイノセンスやない。それとは真逆のもんや』

「真逆?ってなんだよ?」


 更に問いかけてくる主に、ようやく憑神の目が向けられた。
 切れ長の鋭い目が、じっとティモシーを見下ろして、やがてそっと瞼は閉じられた。










『──…ノアやっしゃ』










 そう、間違えようのない答えを吐き出して。

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