My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「わけの…わからないやつ」
エクソシストでありながら、自らのイノセンスに体を破壊されている。
そんなアレンを目の前に、レベル4は血だらけの口を大きく開いた。
がぱりと顎の間接を無視して広げられる、大きな口。
そこから覗いているのは巨大な砲だった。
「きえちゃえ」
キュィイイ…と光を砲の中に溜め込んでいく。
明らかに至近距離から破壊力のある一撃を打ち込もうとしている。
そのレベル4の姿に、固まっていた神田は咄嗟に地を蹴り駆けた。
「──」
レベル4の攻撃を止めたのは、神田ではなかった。
目の前で共に串刺しになり、口から血を溢れさせているアレン自身。
その手が、まるで寄り添うようにレベル4の頬に触れる。
ざわざわと波打つ気配。
目の前の口が優しく弧を描いて笑みを作り上げる。
レベル4の眼球が上がる。
血を溢れさせながらも微笑んでいる口元から、その目元へと。
白い前髪の隙間から見える瞳。
それは金色に輝いていた。
「 オ ハ ヨウ 」
ゆっくりと紡がれた言葉は、誰に語りかけているのか。
目覚めの挨拶を成したもの。
ざわざわと波打つ気配が増す。
大きく見開いたレベル4の目は、アレン越しにその姿を垣間見た。
真っ黒な、彼のメモリーを。
AKUMAならば感じ間違えるはずのないもの。
確かにそれは、我らが創造主と同じ──
「のあ…っ」
ノアの一族。