My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「ぐぁああぁあ!!!」
「ッ…!」
背後からレベル4の体を串刺しにしたまま、退魔の剣が突っ込んだのはアレンの下。
ド…ッ!とレベル4の体が激しくアレンの体に衝突することで、その動きを止めた。
二人して向き合った形で、退魔の剣に串刺しにされている状態。
しかし口からAKUMAのオイルを零すレベル4とは違い、アレンは平然としていた。
「がっ…は…ばか、か…ッおま…えも、ささっている…よ…」
「これは邪悪なものだけを斬る退魔の剣だ。ノアやAKUMAにしか効かない!」
そう、ティモシーの乗り移ったリンクの体を串刺しにした時と同じ。
退魔の剣が威力を発揮するのは、ノアとAKUMAに対してのみ。
エクソシストや普通の人間には無害のものだ。
だからこそ苦しみ悶えるレベル4とは違い、アレンにはなんの効果もない。
──ズグ…
ない、はずだった。
(…え…?)
不意にアレンを襲った体内の"痛み"。
「クラ…ウン…クラウン…?」
震えて開いた口で、恐る恐る自分のイノセンスの名を呼ぶ。
その口から、こぷりと真っ赤な血が溢れ出た。
目の前で苦しむレベル4と同じように。
「じゃあくなものだけを…? は、は…なにを、いっているのでしょう…」
そんなアレンを目の前に、レベル4が苦々しく嗤う。
「じゃあおまえはなぜ、くるしんでいる」
ざわざわと体中を這う異様な気配。
ビキ、とアレンの体内で亀裂が走った。
「ぐ、あ…ぁああぁあああぁあ!?!!!」
それは一気に襲い掛かってきた。
体の細胞を、組織を、破壊されるような鋭い感覚。
痛み、亀裂。
「アレン!?」
「!?」
苦しみ悲鳴を上げるアレンに、マリ達の目が一斉に向く。
(退魔の剣があいつに効いてる!?)
一番アレンの身近にいたのは神田だった。
退魔の剣に体を串刺しにされ、苦しんでいるアレン。
その姿はどう見てもノアやAKUMAと同じ反応のもの。
まさか。
嫌な予感が走る。
(あいつの中のノアメモリーが…!?)
アレンの体内に宿っているとされる、14番目のノアメモリー。
まさかそれに反応しているというのか。