My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
──ジャコンッ
レベル4との戦闘を再開してすぐ。間合いを詰める姿さえも見せずに、即座にアレンの顔面擦れ擦れに突き付けられたのは、巨大なガトリング銃の幾つもの銃口だった。
「うおわっ!?」
ドドドドド、と目の前に放たれる銃弾。
咄嗟に片手でガトリング銃の上側面に手をかけると、アレンは大きく飛び上がりその銃弾の嵐を裂ける。
間一髪。当たっていれば、いくらイノセンスを体内に宿している身でも顔は穴だらけになっていただろう。
「ちっみがるなやつ!」
片手で体を支えて逆上がり状態になっているアレンを、レベル4の眼球が上がり捉える。
攻撃を避けられはしたが、今のアレンは宙に浮いて無防備な身。
このまま狙い撃ちにすれば簡単に蜂の巣にできる。
にぃ、とレベル4の口角が上がる。
その背後で、ザッと暗闇の地面を蹴り上げる音が響いた。
「"三幻式(さんげんしき)"」
「!」
背後で感じた殺気。
ぐりんっとレベル4の顔が、首の関節を無視して真後ろに回る。
見えたのは構えた六幻の刃に、ゆらりと青白い炎のような気を纏わせる神田の姿。
びきり、と彼の目元に亀裂のような模様が浮かび上がる。
("爆魄斬"!)
同じく関節を無視したレベル4の肩がぐるんっと回り、二つの巨大なガトリング銃が神田に焦点を合わせる。
その銃口から銃弾の嵐が降ると同時に、神田の六幻はバチバチと唸る斬撃を放った。
「ぐ…ッ…受け取れ…!」
浴びせられる銃弾に、ぶしゅっと体のあちこちから血が噴き出す。
それでも神田の目は迷いなく、攻撃を向けた相手を睨み付けていた。
目に見える、大きな刃のような青白い斬撃。
それはレベル4の体に斜めにざくりと切り込むと、爆発を起こした。
左腕から左肩、斜めに腹部を走ると右太腿から右足へと。
一直線に斜めに切り込んだ斬撃が、レベル4の白く細い左腕と右足を吹き飛ばす。
暗い空にそれでもわかる、目に鮮やかなAKUMAのオイルが飛沫を上げて噴き出る。
人の血と同じ色をした、真っ赤なものを。