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My important place【D.Gray-man】

第42章 因果律



 蛇口を大きく捻り迸る水るように、ボタボタと噴き出る赤いAKUMAのオイル。
 片腕と片足を失ったレベル4の体が、一瞬止まる。
 その隙をアレンが突いた。


「喰らえ…!」


 退魔の剣でレベル4の顔面に斬り掛かる。
 ここで一撃を入れられたなら、恐らくとどめとなるだろう。
 しかし、ガキッ!と物質を切り裂く音とは別の鈍い音がその場に響き渡った。
 見えたのは、大きな退魔の剣の刃に食らい付く──


「歯ッ!?」


 目を疑う。
 まさか刃に噛み付いて止められるとは。
 未だに足と腕から血を噴き出させながら、悲鳴一つ上げることなくレベル4は無事な左足を蹴り上げた。


「ぁが…っ!」


 ゴキンッと硬く軋む音。
 蹴り飛ばされたアレンの体が後方へと飛ぶ。
 噛み付いて咥えていた退魔の剣をぺっとその場に捨てると、レベル4は残るガトリング銃で再び乱射を始めた。


「しねしねしねしねしねしね!!!!」

「く、そ…ッ!」


 武器を奪われた身に、襲い来る銃弾の嵐。
 近付くことも叶わず、逃げるだけで精一杯。


「アレン…! 神田!(駄目だ…っレベル4の攻撃音がうるさくて状況がわからない! 拡聴器さえあれば戦えるのに…くそっ!)」


 マリの耳に届くのは激しい銃の乱射と、アレンと神田の微かな声。
 これでは助太刀したくてもできない。
 血に塗れた耳元を押さえながら、ギリと歯を食い縛った。


「なんてしぶとさだ…やはり元帥なしでは無理なのか…っ?」


 そしてその状況に唇を噛み締めているのは、リンクも同じ。


(勝てないのか!?…このままだと…ッ)


 その目がレベル4から、拳を唸らせるレベル3、そして自分達を守るように立ち塞がっている白いマントの華奢な背中に向く。

 このままだと、彼女の結界もいつ破られるか。

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