My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
普段よく二人の喧嘩を仲裁しているのは雪本人。
その日頃のストレスでも爆発したのか、ビシッと指差して罵声を飛ばす雪に、思わずアレンと神田の喧嘩腰の口が閉じた。
「いっつもいっつも喧嘩して…! 幾つなの幼稚園児なの!? 時と場合ってもんがあるでしょ! こういう時くらい力合わせなさい! じゃなきゃ倒せるものも倒せないし救える命も救えない! 二人はAKUMAの弾一発や二発受けたって大丈夫でしょーけど、私達は違うの! 死ぬの! 終わりなの! マリにそれ以上負傷させたら怒るから! 全マリミラファンが!(そして私が!)」
「「……」」
マシンガンのように打ち込まれる説教の数々。
最初は的を得ていた。
どう聞いても正論だった。
しかし後半は変な方向へ脱線しているように聞こえて仕方ないのは、果たして気の所為なのか。
「………あの、神田(マリミラって何)」
「聞くな。俺に(あいつの意味不明発言は今に始まったことじゃねぇよ)」
「聞こえてるからその心の声! 聞かなくてもわかるからその顔! マリミラはマリ×ミランダさ」
「わかったわかったっ雪、わかったから。それ以上大声で名前を言うのはやめてくれ」
最初に口を開いたのはアレンだった。
最後に雪の言葉を止めたのはマリ。
片手で自身の目元を覆い、顔を背けるようにして勘弁してくれと言わんばかりの反応で。
"マリ×ミランダ"なんてわかる者にしかわからない。
というかわかってしまう自分がいるから困る。
この場にミランダがいなくてよかったと、マリは心底安堵した。
「とにかくさっさと仕事する! AKUMAは待っちゃくれないんだから!」
「「「……」」」
「はなしは、それでおわり?」
ビシッと雪が指差した先。ああ、と気付いたように声をかけてくるレベル4に、思わずアレン達は押し黙る。
どこをどう見ても待っていてくれている。
案外、話の通じるAKUMAなのかもしれない。