My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「今度こそ終いだ!死ねぇええ!!!」
「く…」
大きく振り被ったレベル3の巨大な拳が、リンクの顔面に振り下ろされる。
──バチンッ!
派手な音を立てたのは、拳で頭を潰す音ではなかった。
弾かれるようにレベル3の拳が、何かと衝突した音。
「ぁあん!? 今度はなんだ…!」
「!…君、は…」
「大丈夫!? リンクさん…!」
間一髪。滑り込むようにリンクとレベル3の間に飛び込んだ雪は、同時に結界装置を起動させていた。
リンクとティモシーと、そして雪自身を取り込んで守るように張り出された結界のシールド。
ドーム状の見えない壁が、レベル3の攻撃を遮断する。
「月城…雪…っ? 何故、君が此処に…」
「説明は後! こっちに集中しなきゃいけないから…!」
「しゃらくせぇ! 次から次に…! ただの人間が邪魔してんじゃねぇよ!!!」
バチバチと火花のような光が、レベル3の拳と結界の間で飛び散る。
相手はレベル3のAKUMA。
この結界装置の耐久性を持ってしても、どこまで保つかどうか。
しっかり自分の手で起動し続けないと、結界を破られてしまう。
「え……ねーちゃん…?」
結界装置を構えて、レベル3の前に立ち塞ぐ雪。
その耳に届いたのは、リンクに続くように驚き掛けてくる幼い声。
ちらりと視線を移せば、見覚えのある少年がこちらを凝視していた。
青翠色の鮮やかな髪色の、額に不思議な玉を持った少年。
多少見慣れない所はあるものの、ツリ目の少し生意気そうな顔は見覚えがある。
そしてどうやらその少年も、自分のことを知っているらしい。
となれば、やはり彼はもしかして──
「やっぱり…! 乳ナシねーちゃん!」
「誰が乳ナシだァアアア!!!!」
確定。
彼はあの美術館で乳を揉んできたエロガキだ。