My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「な~に弱気になってんのよう。要は見つけりゃいいんでしょ、そのイノセンスってのを。その道のプロなんでしょ、シャンとなさいな!」
そこに渇を飛ばすような声が響く。
一斉にそこに顔を向けた雪達は、これまた一斉に口を閉じた。
「「「「……」」」」
「なぁに?」
「「「「…いえ」」」」
というか、本当に付いて来てしまった。
なんとも言えない顔で見つめる先には、カールした長い金髪をポニーテールに結んだ、女性のようで女性でない男性。
筋肉質な張りある太い足を、目に眩しいスパンコールのミニスカートと網タイツで惜しげもなく曝し出した、どこをどう見ても男性が女装した姿。
名はボネール。
黒の教団での配属先は(恐らく)ファインダー。
(というか、ガルマー警部がピリピリしてるのって半ばボネールさんの所為なんじゃ…)
(独房のガラス、身一つで破壊したもんな…)
(あれって教団の請求になるんですよね?)
(俺、勧誘する相手間違えたかもしんね…)
「何よその顔。言いたいことがあるなら言いなさいよ」
「「「「いいえ」」」」
据わったジト目で見てくるオカマ相手に、きっちり首を揃えて横に振る。
彼の腕っ節は知っている。
下手に煽らない方がいいだろう。
「全く。それより留守かどうかなんて、中を見ればハッキリすることじゃない」
「え?って待ってボネールさん!?」
「何しようとしてるんですかっ!?」
「何って。正面突破?」
「んな強盗みたいなことしたらまた独房行きになるだろうが! やめろって!」
溜息混じりにドアに近付いたかと思えば、高いピンヒールの足を上げてドアを蹴り開けようとするものだから。
顔を真っ青にして、慌ててファインダーズで止めにかかった。
ボネールがつい小1時間前に独房の分厚いガラスを、正面衝突でぶち破っているのは記憶に新しい。
そんな彼なら本当に正面突破してしまいそうだから、冗談だろうなんて笑えない。