My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「はんっ! 馬鹿馬鹿しい! 何処かと思えば、此処は顔見知りの孤児院ですよ。こんな所に怪盗Gがいる訳ないでしょう!」
「はは。そこはご説明したでしょう、警部殿」
ぶっすぅ、と額に青筋立てて顔を歪めるガルマー。
苛々と声を荒げる彼の隣には、正反対ににこにこと穏やかな笑みを浮かべて立っているリーバーの姿。
「はぁ…イノセンス、とやらですか。本当にそんな不思議な力をもったもんが存在するんですかねぇ」
「するんですねぇ」
「……ほぉ~(このオカルト集団め…)」
嫌味ったらしく問いかければ、あっさり平然と返される。
嫌味も通じていないその返答に、ガルマーは内心盛大な悪態を突きつつピクピクと口元を怒りで震わせた。
「何が"するんですねぇ"だ」と言わんばかりの顔で。
「(中央庁の圧力に屈した)上の命令なので、仕方なく協力しますが…もし此処からそのイノセンスが出てこない場合は、即刻お仲間はこちらに返して頂きますよ」
「煮るなり焼くなりお好きにどうぞ。ただし出たら怪盗Gは我々に引き渡して下さいよ」
「いぃ~でしょうぅ~」
「リーバーさん…ガルマー警部をまさかの圧力で抑え込んでたなんて…(意外だった)」
「おい雪。リーバーをどういう目で見てるか知らねぇが、あいつはやるときゃ手段なんて選ばねぇぞ?(つーか、オレらの命ってもしやイノセンスにかかってんのか?)」
「流石、あの若さで科学班班長にまで上り詰めた男だぜ…(次に独房にぶち込まれたら死を見そうだな…)」
「オ、オレもう独房なんて嫌ですよぉ…」
閻魔のような顔のガルマーに、仏のような顔のリーバー。
しかし二人の視線の間にバチバチと散る火花は、どうやら目の錯覚ではないらしい。
もしイノセンスが見つからなければ、自分達は二度とあの独房から出て来られないかもしれない。
そんな寒気を体に感じながら、雪達はぶるりと一斉に体を震わせた。
見つけないと。
意地でも、イノセンスを(そして怪盗Gを)。