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My important place【D.Gray-man】

第42章 因果律



 腕組みしたまま考えながら、雪はもう一度窓の中を見つめた。
 真っ暗な闇。
 分厚い雪雲で太陽は隠れているが、まだ昼時だ。
 なのに窓の中は家具でさえもよく見えない。

 少し、可笑しい気がする。


(…必要になったり、するかな)


 生死を賭けるような任務ばかりしていれば、第六勘のようなものは多少なりとも働くようになる。
 根拠も何もない。
 ただ、経験故の"勘"。

 僅かに感じるその嫌な勘に、雪は肩に下げていた結界装置を手元に寄せると見下ろした。
 上手く作動するかどうか、警察に押収されていたそれをざっと見返す。

 この装置が必要となるのは、基本はAKUMAが出現した場合。
 必要にならなければいいのだが。


「そういえば、前から思ってたんですけど」

「ん?」


 そこに大きく白い息を吐き出しながら、覗き込んでくる巨体が一つ。ゴズだ。


「雪先輩って、なんでまだその装置使ってるんですか?」

「…ああ、これ?」


 興味深そうに後輩であるゴズが見てくる先は、手元の結界装置。
 それを軽く上げて見せれば、彼は大きく頷いた。

 雪が抱えている結界装置は、ゴズが肩に下げている結界装置とは形が大きく異なる。
 現在ファインダーの中で主流となっている結界装置は、ゴズが持っている十字架模様の入った円盤型の盾のような最新のもの。
 雪の持つ、四角いキューブのような大きく重厚感のある装置は、旧型のもの。
 組み立て式の少し厄介なもので、最新型のそれより癖があり扱い難い。

 ゴズの知っているファインダーの中で、未だにその旧型を使っているのは雪だけだった。

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