My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「マスター!」
小柄な足を必死に駆けながら、我らが主の下へ向かう。
ティモシーの本体に入り込んだ憑神の頭上を、追うように飛ぶのはティムキャンピー。
「マスター、大丈夫やっしゃ?」
「ツ…ッツキカミの嘘つきぃっ!」
暗い地面に倒れ込んだまま、起き上がらない主を覗き込む。
すると体はあちこち傷だらけになっていながらも、ティモシーは勢いよく声を上げた。
「オレの技効ーてないじゃん!?」
「それはマスターが憑いてるAKUMAがレベル2で、あっちがレベル3やからやのっ」
倒れ込んだままブーブーと文句を垂れるティモシーを、小さな両腕で抱えるようにしてずるずると起こし上げる。
そうして眉間に皺を寄せながら、先程言いかけてティモシーが聞かなかった説明の続きを憑神は口にした。
「ええか、AKUMAにはレベルがあんねん。数字のでかい奴程強いんやっしゃ」
「……て、ことは…」
もんもんもん、と考えること数秒。
「2(オレ)じゃ3(アイツ)に勝てねぇのっ!?」
「そや」
理解した事実にティモシーは飛び上がった。
しかしその驚きは一瞬だけ。
確かに取り憑いたAKUMAに最初から差があるなら、勝てない理由もわかる。
なんだそんなことか。
「早くゆってよ、もーっ」
身を起こせば、こちらに勢いよく突進してくるレベル3が見える。
となればすることは一つだけ。
簡単だ。
「ま、待てっ何する気や!」
しかし、呑気に呟きながら体をカッと発光させるティモシーに、憑神はサァッと顔を青くした。
まずい。
もし主が勘違いしていたら。
「アカン! 待てってマスタ」
「あっちに取り憑いてやるっっ!」
「アカンてーッ!!!」
やはりかと、レベル2のAKUMAの体から抜け出てレベル3に向かうティモシーに、憑神は頭を抱えて悲鳴を上げた。