• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第42章 因果律



「えっ…!?」


 爽快に突き破るはずだった、勢いのついた怒りの鉄拳。
 しかしそれは、レベル2の頭を破壊した直後に硬い何かに衝突した。
 驚き固まるティもシーの目に映り込んだもの。


「ざぁんねん」


 其処にいたのは、レベル2の後ろから大きな拳を突き出すレベル3のAKUMAだった。
 全身機械化された体を擡げ、ケタケタと歯を慣らして笑う。


「いくら対AKUMA武器化したところで、所詮元はレベル2」

「ぴっ…うげっ!?」


 真正面からぶつかり合った、ティモシーとレベル3の拳。
 小さな白い拳と、巨大な機械化された拳。
 その見た目に比例するかのように、ピシリと罅を入れたのはティモシーの拳だった。


「こっちはレベル3…格上なんだよッ!!!」

「うわぁああ!?!!!」

「ティモシー!?」


 レベル3に殴り飛ばされたティモシーの体が、暗い世界の宙を舞う。

 半信半疑で呼びかけるアレンの腕の中。
 そこに寝かされたままの意識のないティモシーの本体に、やれやれと近付く白い影が一つ。

 憑神。


『慌てん坊めっ』


 そのままするりと、まるで憑依するかのようにティモシーの本体へ入り込んだ。
 ぱちりと呆気無く開く本体の目。
 唐突に目を覚ましたティモシーに、アレンがギョッとする中、むくりと小さな体が起き上がる。


「え!? ティモ」

「こぉらマスター! ワイの話聞かんかーいッ!」

「……わい?」


 声をかけるアレンに目もくれず、小さな体は投げ飛ばされたティモシーに向かい駆けてゆく。

 わいってなんだ。
 なんだか声が違うような。
 あれはティモシーなのか?


「…なんだ一体…」


 訳がわからず、その場に置いてけぼり状態。
 唖然と呟くアレンの声を拾う者は誰もいなかった。


 ──チリッ


 その時、不意に首の後ろに微かに感じる寒気。
 まるで寝首を噛まれるような感覚。


「ッ!」


 それが何か悟る前に、アレンの体が飛び退く。
 すると同時にその場に打ち込まれた数十発もの銃弾が、荒れた黒い地面を抉っていた。

/ 2655ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp