My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
『聞きやマスター』
「おうっ!」
ふうんわりと柔らかい曲線を描く、両手両足。
頭からはピエロの尖がり帽子のようなものが突き出し、その顔は青翠色のちょこんと丸い人形のような目を持つ。
白を基調とした体には青翠色の模様が至る所に刻まれており、額には目玉に似た十字架模様。
一見するとまるでマスコットのような、愛嬌もどこか残す人形。
それが、ティモシーがレベル2のAKUMAに取り憑きイノセンス化した姿だった。
レベル2とレベル3。
残す二体のAKUMAを蹴り飛ばし、後方に下がるティモシーの傍に寄る白い影。
足元はテレビや漫画で出てくる幽霊のように、一つにまとまり消えている。
真っ白な肌に藤色の髪。
胸元を大きく開けた着物を羽織り、その切れ目の顔には隈取模様。
まるで歌舞伎役者のようにも見える男の名は"憑神"。
そうティモシーに命名された、彼のイノセンス能力で生まれた意志ある存在だった。
『戦り方は人に憑いとった時と然して変わらんで。憑いたAKUMAの身体能力・力はマスターのもんになる。元はAKUMAも、憑神によって対AKUMA武器化した今はその能力はAKUMAにも効くんや。ただし──』
「わかった! こいつの技は確か~…!」
『ちょっまだ説明…っ』
「あれだ!」
星型模様の一つ目を持ったレベル2。
見た目は大きく変わっても、その能力は自分のものとなっているらしい。
となれば。
憑神の言葉を待たず、構えたティモシーの額の十字架模様の目玉が光り出す。
その目が見つめる先は、倒れ込んでいる着ぐるみのようなボディを持つレベル2のAKUMA。