My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
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「きゃははは! しねしねしねしねしね!!」
AKUMAの中で一番人へと近い形を成す、レベル4。
しかしAKUMAの中で一番人から離れてしまった魂を宿す、悪性兵器。
それから発せられるのは、尽きない銃弾の嵐だった。
腕を巨大なガトリング銃へと変形させたそこから発射される全ての弾に、AKUMAウイルスは組み込まれている。
この銃弾を一発でも浴びてしまえば、ウイルスに侵されて人は簡単に死に至る。
「ぐ…ッうざってぇ…!」
「くっそ…ッ!」
その弾を体に浴びながら足止めされているのは、エクソシストである神田とアレンだった。
高速再生の体を持つ神田と、寄生型イノセンスを体に宿したアレンならば、AKUMAウイルスに侵されても死にはしない。
しかし痛みやダメージは常人が受けるものと変わらない。
ぶしゅっ、と銃弾を受けた皮膚から赤い血が噴き出る。
それは確かにダメージを蓄積させ、二人を敗北の道へと近付けていた。
「ティモシ…の所に、行かないと…!」
こんな所で足止めを喰らってる暇はないのに。
耳に取り付けたイヤリング型無線機から聞こえた、ティモシーの泣き声。
あれはリンクの持つ万年筆型の無線機から届いたもの。
そこからは、ティモシーの声とエミリアの声しか聞こえなかった。
リンクはどうなったのか。
彼の名を叫ぶティモシーの声が、耳にこびり付いたまま離れない。
アレンは気持ちを焦らせた。
助けに行かないと。
彼らではAKUMAを倒せない。
ティモシーの能力が例えイノセンスであっても、まだ彼は幼い、戦闘を知らない子供だ。
このレベル4のAKUMAは、自分だけではないと言っていた。
戦闘中に離れてしまったハースト孤児院から、爆撃のようなものも見えた。
恐らくリンク達は新たなAKUMAに襲われたのだろう。
早くしないと。
手遅れになってしまう。