My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
『適合者の意識(なか)におるワイはおまいに認識されへんと、形になれへんねんど』
もぐもぐ、ごくん
一つ目お化けの体を食べ尽した影がざわざわと形を変えていく。
な…なんだこいつ…?
ゆらゆらと揺れる霧のようなものが、縦長に変わっていって、やがてはっきりとした輪郭を作り出す。
そこに現れたのは、真っ白な肌に明るい紫色の髪。
顔にエメラルド色の変な模様を付けた、これまた変なアジア系の異国の衣装を纏った…………………オレ?
『はじめまして、とゆうとこか。ワイは憑神の"介添モン(セコンド)"やっしゃ』
………え…だから…
「オレ?」
どう見てもオレなんだけど。
あの顔、どう見ても未来予想図で立ててた大人のオレの顔なんだけど!
『あ、コレはおまいの頭ン中にあるイメージをちょお借りた。話し易いでな』
ふわふわとその場に漂う、まるで幽霊みたいな大人のオレ。
ご馳走を食べた後のように、満足気な顔で指先をペロリと舐める。
その舌は髪色と同じ、明るい紫色。
そして紫色の髪は、ツンツンと跳ねていて襟足が長い。
今のオレと同じ髪型。
布生地の前を掛け合わせて着る、袖口の大きなアジアの異国衣装を身に纏っていて、腹には…なんだっけアレ…しめ縄?みたいなでっかい紐を結んでいた。
……怪盗Gとは別の意味で強烈なコスプレだな。
そしてなにより、額と鼻と目と口に変な模様付けてるけど、でも確かにはっきりとそいつは大人のオレの顔をしていた。
キリッとした切れ目に高い鼻。
まさにオレの理想通りの。
思わずエミリアが惚れそうな感じの恰好良いオレ!
『どや、似おうとる?』
「似合うって…顔は良いけど、その変な模様と服はオレ好みじゃな」
「ちょっちょっと何ボケッとしてんのよティモシー!」
「え? だってエミリア…って見ろよエミリア! あれ大人のオレ!」
慌ててそいつを指差してエミリアに呼びかけても、エミリアの目は違う所に向いて──
「くぉの野郎ぉお!!!」
「ぐぇッ!?」
「ティモシー!」
孤児院の壁に開いた穴から飛び出してきた機械AKUMAの蹴りが、腹にズドンと入り込んだ。