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My important place【D.Gray-man】

第42章 因果律



 もうあの長くて黒い布紐のような腕はない。
 代わりにそこにあるのは、白くてエメラルド色の模様が入った普通の長さの腕。
 足もある。胴体も。
 だけどどこもかしこも真っ白で、それでいてあちこちエメラルド色の模様が刻まれていた。

 どう見たって人間じゃない。

 というか…


「おぉおーっ!? 変身したぁーッ!?!!」


 この体、さっきまであの一つ目お化けのAKUMAだったよな!?
 なんだこれ、勝手に体が変身したんだけど!?


「てかオレ、こいつらにも乗り移れんのかーッ!!」


 ってそこだよそこ!
 無我夢中で勝手に乗り移ってたけど!
 まさかAKUMAにも乗り移れるなんて!

 オレすげぇ!!!


「その声…っあんたティモシー!?」

『アホ、前見ぃ前っ!』


 エミリアの驚く声。
 急かされて前を見れば、機械AKUMAが大きな拳を振り下ろそうとしてくる瞬間だった。

 やべぇ!


「危なッ!」

「わ…!」


 咄嗟にエミリアと人形になったホクロのあんちゃんの体を担いで飛び退く。
 体は凄く軽くて、大人二人担いでもヘッチャラだった。
 なんだこれ、やっぱAKUMAの体だと違うのかっ?


「あんた本当に変な能力あったのっ?」

「って言うかアホってゆった? 今!」

「言ってないっつの! アホとは思ってるけど!」


 嘘つけ、今言ったじゃんか!
 確かに聞こえたぞ、アホってオレのこと急かして──


『こっちやこっち』


 エミリアとあんちゃんを担いだまま、大きく空いた穴から外の暗い世界に飛び出す。
 その暗闇から呼びかけてくる声。
 驚いて顔を向ければ、そこには霧のように漂う影みたいなモンがあった。


『やーっと声が通じたわ。憑神(つきかみ)』


 違う。
 影みたいなモンが"いた"。


『ずっと傍におったのに、正しい発動してくれんと人間にばーっか憑きよって』


 声はその影から聞こえていた。
 影みたいだけど形はわかる。

 ゆらゆらと揺れながら白や紫に光る変な物体。
 目玉二つと、口が一つ。その口からはみ出しているのは…あれ…あの一つ目お化けの足…?

 もぐもぐとまるで食いモンを食べてるかのように、口を動かしながら足を飲み込んでいく影。

 まさか…こいつ、あの一つ目お化けを食ったのか?

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