My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
「あんちゃん…っ!?」
覗き込んだ顔は、院長先生やチビ達と同じ。
生気のないガラス玉の目。
ツルツルした甲羅のような皮膚。
半開きに開いた口。
これ…ホクロのあんちゃんも…!
「なんて奴だ。エクソシストでもないのに」
くすくすと笑い声が聞こえた。
あんちゃんの攻撃で大穴が開いた、壁の向こうの真っ暗な世界から。
「6秒の壁は越えられなかったがねぇ」
笑い声と同時に、暗い世界から浮かび上がる星マークのぎょろりとした目。
やっぱりあんちゃんは、こいつに人形にされてしまったんだ。
それと無数の機械のような目に、縫いぐるみみたいなボタンの目も見えた。
こいつら皆、さっきのAKUMAだ。
あんちゃんのあの攻撃を喰らっても、やられなかったんだ。
「ぁ…あ…」
ぬぅっと、暗い世界から姿を現す三つの影。
それは予想していた通りの、あのAKUMA達の姿だった。
あんなに凄い威力の炎の渦を喰らっていたはずなのに、その体は火傷一つ負っていない。
なんだよこいつら…不死身なのか…!?
「さぁチビ。伯爵サマの所に行こうなー」
「や…やだ…嫌だ…ッ」
「全く、とんだ邪魔をしてくれたもんだよ」
体が竦んで動けない。
ガタガタと震えて、上手く動かない口。
着ぐるみのようなAKUMAの大きなもこもこした手がオレの体を掴むと、そのまま腹にある袋のような穴に押し込まれた。
一つ目お化けに足蹴りされるホクロのあんちゃんは、ピクリとも動かない。
本当に人形になってしまったように。
ど、どうしよう…!
これじゃ本当に終わりだ…!
「ぴっ…」
「ぴ?」
「ぴぇえええええ!!!!」
「…は?」
絶望しか感じない八方塞りな状況。
耐え切れず目から溢れる涙。
「ぶッ! なんだこのガキの泣き方!」
「放せぇえええ! ぴぇえええっ!!!」
「ギャハハハハ! ハイハイ怖くないでちゅよ~!」
「くそったれぇええ! バカヤロォオ!!! ぴええええ!!!」
ゲラゲラと周りで笑うAKUMA達。
オレの涙なんて遊びの一つでしかないんだ。
オレにとっては一大事なのに。
なんで笑うんだよ畜生…!