My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
✣
『リンク! 聞こえますか、リンク!』
「…ぅ…げほっ」
真っ暗な闇に包まれていた世界。
オレの意識を引き戻したのは、あの白髪のあんちゃんの声だった。
あれ…いつの間に傍にいたんだ?
あのレベル4ってAKUMAと戦ってたはずなのに…。
『返事して下さい! リンク!』
リンクって誰だ?
…ああ…確か、あの金髪のホクロのあんちゃ──
「っ!」
はっと意識が覚醒する。
そうだ。
オレ、確かあのホクロのあんちゃんの攻撃で吹き飛ばされたんだ。
「ごほっ…あ、あんちゃん…っ!?」
倒れていた体を起こす。
体を縛っていた布紐はどこにもない。
吹き飛ばされた時に、どうやら解放されたみたいだ。
少しギシギシしたけど、これと言って強い痛みは体になかった。
多分、オレにあの炎の渦は引火しなかった。
辺りを見渡せば、あちこち黒い煙が黙々と上がっていた。
黒い煤がぱらぱらと舞う中、傍で飛ぶティムキャンピーが見える。
こいつも無事だったんだ…よかった。
カシャン…
その時、すぐ傍でなにかが倒れるような音がした。
この音…知ってる。
聞いたことがある。
確か院長先生が倒れた時と同じ──…あの、人形が崩れ落ちるような音。
「あ…」
その音がどこからしたのか。すぐにわかった。
煙の合間から見えた、オレのすぐ目の前。
まるで守ってくれてるように、傍に立つ服の破けた体。
金髪の三つ編みの後ろ姿が、あのホクロのあんちゃんだと悟った時。
その体はオレの足元に崩れ落ちていたから。