My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「──とまぁ、ざっとこんな感じかな」
粗方説明し終えた口を休ませるために、ふぅと息をつく。
…これ、本当はヴァチカンと教団関係者しか知らされていないことなんだけど。
まぁこれだけ赤裸々に壮大なことを伝えてやれば──
「………なんかの映画の宣伝?」
「む…別世界の話のようでござるな…」
「暗黒の三日間ですって。まぁ怖い」
………よし。
そんな反応だろうと思った。
ぽかんとした顔で思い思いに呟くルパン達に、内心ガッツポーズ。
ここまで壮大に話せば、いくら真実でも無関係な人には薄っぺらな嘘話にも思えてくる。
この世紀の大泥棒に変に興味を持たれても困るから、それなら単なるオカルト集団だと呆れられた方がいい。
「私は其処で働いてる一職員なだけ。ただの一般職です。強いて言うなら営業事務?」
肩を竦めて続ければ、腕組みすると己の顎に片手をかけて。ルパンの目が品定めするように、じろじろと私を見回した。
「ふ~ん…」
暫く無言で私を観察していたかと思うと、不意にその口元が緩む。
見せたのはにんまり笑顔じゃなく、微かな笑み。
「ま。よくわかんねぇけど大変な世界で生きてんのね、雪ちゃん」
「………信じるの?」
その顔に疑いの色はない。
驚いて思わずそんなことを問いかければ、今度は軽く笑われた。
「元同盟仲間が真面目に話してくれてんのに、信じない理由がどこにあんのよ?」
さらりと返された言葉に、不思議と疑いなんて浮かばなかった。
ルパンは本音を口にしてくれてる。
なんとなくだけど、それがわかった気がした。
「……」
………なんとなく、わかったかも。
ルパンが"ただの泥棒"という枠に収まらない存在だっていうのが。