My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「なーに女同士で仲良くやってんの…ちぇっ」
「自業自得でござる」
「五ヱ門ちゃん、冷たーい…」
不二子ちゃんに見惚れていると、地面に顔から着地したままの体制でルパンがぼやいた。
その声にはっとする。
あ、やっぱり。
その着物の男性、五ヱ門って言う名…ってそうじゃなくて。
「それより、その変装解いてってば! ほんとっ」
「そんなに気に入らねぇの?」
「当たり前! 恋人に変装されて嬉しがったりなんてしないからッ」
「へいへい。わァったよ」
溜息混じりに零しながら、ルパンが自分の下顎に手を添える。
するとベリッと、張り付いていた紙か何かを剥がすようにその"顔"を引き剥がした。
ユウの顔の下から出てきたのは、やっぱりあのルパン三世の顔。
あんな薄い人の顔を象った物を被るだけで、こうもそっくりに化けられるなんて。
ルパンだからできる芸道だろうな。
「貴女の恋人は中々の色男さんね。妬けちゃうわ」
「…外見だけです。中身は剥き出しのナイフばかりの人だから」
「まぁ。ワイルドじゃない?」
「アハハー、ソウデスネ」
なんてポジティブシンキング。
"ワイルド"なんて言葉で片付けられるなら私もそう思いたい。
思わず棒読みで笑ってしまえば、不二子ちゃんはぱちぱちと長い睫毛を瞬いてクスリと綺麗に笑った。
「…なんで笑うんですか」
「だって、」
あまりにクスクス笑うもんだから、つい問いかけてしまった。
そんな私に、東洋人独特の黒い目を向けてにっこりと笑う。
「貴女、言葉の割には嬉しそうにしてるから」
「っ」
そんな不二子ちゃんの返事につい言葉が詰まってしまった。
嬉しそう…に、見えた?