My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「其処の彼女にキスなんてしてた口が、何を言ってるのかしら」
つん、と綺麗な横顔を向ける美女。
拗ねた仕草も様になる。
そんな不二子ちゃんの反応に、忽ちルパンの顔がすんごくイイ笑顔に……うわ。
ユウの顔でそういうにんまり笑顔やめてほしいな、なんか。
「あっれぇ…もしかして妬いた? 妬いちゃった? だ~いじょうぶだって! オレ様、不二子ちゃん一筋だから!」
まるで羽が生えたかのように、軽い足取りでふわふわと穴の外に飛び出す。
そのまま両手を広げてしがみ付くように抱き付こうとしたルパンをさらりとかわして、ふんっと不二子ちゃんは素っ気なく反応を示した。
結果、どしゃりと地面に顔から落ちるルパン。
ああもう、見てられない。
ユウの姿だから尚更。
………というか見られてたんだ、私がルパンにキスされたとこ。
「あの…っ私、ルパンのことなんとも思ってませんから。寧ろ騙されてキスされたようなもんですから。誤解しないで下さいねっ」
もし勘違いしてたらまずいから、念を押すように声をかければぱちりと睫毛の長い大きな瞳がこちらに向いた。
わあ…ほんと、"女"というものを全面的に押し出してる美女だなぁ…色んな意味で圧倒される。
「そう言えば貴女、ルパンの変装を見破ってたわよね。中々やるじゃない」
「いや…まぁ…大したことじゃないですけど…」
「そう? もっと自信持っていいと思うわよ、私は。ルパンの変装の腕は確かだもの」
…だって、ユウは煙草なんて吸わないし…。
ある意味わかり易いとは思うんだけどな…。
「…ぁ、ありがとう…」
こんな美女に率直に褒められると、なんだか照れる。
小さな声で礼を言えば何も言わずとも、艶やかな笑み一つで不二子ちゃんは返事をしてくれた。
うわあ…見惚れる笑顔だなぁ…。