My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「私、顔で選んでなんかないけど」
「………あんな美形が服着て歩いてるような顔してんのに?」
きっぱり否定すれば、まじまじと私を見て意外そうにルパンは呟いた。
何その表現。
…わからなくもないけど。
「顔だけで選んでたら、あんな性格ついていけないよ」
「確かに…じゃあなんだ、雪ちゃんあの性格に惚れたわけ?物好きだねぇ」
「違います!」
そんな興味深そうにじろじろ見るな!
「私はユウだから好きになったのっ顔が良いとか性格が好みとかそんな理由じゃないからッ」
好きになった理由なんて、未だに上手く答えられない。
ユウの好きなところなら上げられるけど。
でもそれが好きになった理由かと聞かれれば、頷き兼ねる。
ユウを好きになった理由。
強いて言うなら…"ユウ"だったから。
だから好きになった。
それしか今の私の想いで一番しっくりくるものはない。
「ユウの顔も性格も勿論、今は好きなものの一つだけど…でも好きになったきっかけはそれじゃない」
想いなんて形に見えない曖昧なものだからこそ、はっきりとは理由付けできないのかもしれない。
…でも私はそれでいいと思ってる。
今、迷いなく見ていたい人が誰なのかわかってるから。
そこに明確な理由なんてなくてもいい。
「ルパンだってそうじゃないの?不二子ちゃんのこと。美人とか性格が良いとか、そういう理由で好きになったの?」
「………成程ね」
問えば、その目はまぁるくなって。それからふと優しい笑みをこぼした。
…あ。
これ、ユウだと騙されてた時に珍しい反応だなって感じた表情だ。
……これはユウに変装して作ってた表情じゃない。
ルパン自身の表情だったんだ。
「こりゃ一本取られたな」
「…というかいい加減その変装解いてってば」
声色と雰囲気以外はユウそのものだから。
その顔でそんなふうに笑われると、少しドキドキするというか…わかってるけど。
ルパンだってわかってはいるけど。
直視できないというかなんというか…っ
「あら? 私は好きだけど。その姿」
そこに突如舞い込んできたのは、聞いたことのない女性の艶やかな声だった。