My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「でもまさかそれが"枷"だったとはねぇ。お互いの反応からして普通の思い入れ品だとは思ってなかったけど」
肩を竦めて数珠を見ながら笑うルパンに、ふと理解した。
だから枷でいいのか、なんて。
あんなこと問いかけてきたの?
そこにルパン自身の意図があっても、問いかけてくる様はユウそのものに見えた。
ルパンに変なこと吹き込まれて、そんな問いかけしたのかなんて思ってた。
変なざわつきはあったけど、確かな違和感はキスするまで気付かなかった。
…変装の名人とは聞いてたけど…ここまでだったなんて。
本当、あの大怪盗アルセーヌ・ルパンの子孫なだけある。
「ほんじゃま、これで目的は全部済んだし。こんな居心地の悪い場所さっさとオサラバするか」
不意に話題を切り上げるように、ルパンが歩み寄ったのは面会室の壁の上に設置された小さな小窓。
この面会室は地下にあるから、小窓から見えるのは短い草の生えた外の僅かな地面だけ。
其処から外には繋がっているだろうけど、人が通るには狭過ぎる小窓には更に厳重に柵までついている。
どうやって抜け出す気…ってちょっと待って。
「待って!」
咄嗟にルパンの腕にしがみ付く。
「へ? どったの雪ちゃん、まだキスし足りない?」
「違う!」
な訳ないでしょ!
「ユウに変装したってことは、ユウに何かしたの!?変なことしてたらただじゃ済まさないから!」
逃がさないように腕を抱く力を強める。
もしユウに危害を加えていたら許さないから。
そう意味を込めて睨み付ければ、きょとんとした顔は唐突に苦い笑みを作った。
「何かも何も、あんなこっえー奴に手なんて出せるかよ。寧ろオレの方が、腕を斬り落とされかけたんだぜ」
「よくあんなのと付き合ってんな」と苦笑混じりに言うルパンの意見はなんとなく納得できた。
ユウなら、相手が犯罪者となれば容赦なんてしなさそうだし。
「どうせユウを怒らせるようなことしたんでしょ」
「いーや、あいつが短気過ぎなんだよ。雪、男選ぶなら顔じゃなく中身で選ぶんだな」
あ、それは聞き捨てならない。