My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「え、嘘。本当にルパン?」
「そういや前にもあったっけ、キスでオレの変装見破った可愛こちゃん。やっぱり恋人を騙すのは難しいってことかー」
私の問いを無視して、うんうんと腕組みしながら頷く、見た目はユウ。
だけど反応がまるでいつもの彼とは違う人。
その砕けた反応は見覚えがある。
ここ数日一緒に行動を共にしていたから、わかる。
…ってちょっと待って。
「というか何普通にキスしちゃってくれてんの…!?」
「え? ちゅーして欲しいっつったのは雪だろ?」
「今とは言ってなかったでしょ!」
「でもすんなり受け入れてたでしょ。中々可愛げあったぜ、雪のキス顔」
「っ…!」
飄々とのたまうルパンの言葉に、つい顔が熱くなる。
見られた。
ユウにしか見せていなかった顔。
それもこんな大泥棒に。
「っ私が欲しいのはユウのもので! 猿顔の泥棒のものじゃないから!」
「わぁお、ひっでぇなァ」
思わずぷるぷると指の先を震わせて突き付ける。
ユウかと思ってたから、受け入れちゃっただけです!
「キスなんてこの国じゃ挨拶みたいなもんだって。そう怒りなさんな」
「怒るから。私フランス人じゃないから。というかいい加減その変装解いてよ、見てると気持ち悪いから!」
ユウの顔で、ユウらしかぬ反応はしないでくれるかな!
違和感があって気持ち悪い!
「ったく。とっつぁんの傍にいて口煩さでも移ったのかよ。わざわざこれ返しに来てやったってのに」
「!」
溜息混じりにそう言って、ぷらんっとルパンが目の前に指先で掲げたもの。
それに思わず目を剥いた。
「っ!」
反射的に手を伸ばして奪う。
すると今度はあっさりと、その手から奪い返すことができた。
硬く丸い玉の羅列した感触。
しっかりと握りしめたそれを見下ろせば、今度は間違いなく手の中にあった。
ユウから預かってる、あの臙脂色の数珠が。
よかった…ッ