My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「ちゅーって…そんなんでいいのかよ」
「そんなんって! 私には大事なことだから」
「はいはい」
すると不思議そうな顔から一転。
ユウは可笑しそうにクツクツと笑うと、極自然に顔を寄せてきた。
お互いの顔の距離が縮まる。
当たり前に寄せられる顔に、息が微かに唇に当たって──…って今欲しいとは言ってないけど…っ!?
「ユ──」
だけど自然な動作は構える間もなく、お互いの唇を重ねさせた。
優しく触れる唇。
それは一瞬だけ、今が任務中だとか此処が警察署の中だとか私が拘留されてる身だとか。
そういうものを忘れさせた。
自然と体の力が抜ける。
自然と目を瞑ってしまう。
鼻に掠るのは、ほんのり微かな、
「…っ?」
苦み。
「っん…ッ」
反射的に体を押し返していた。
押せばすんなりと離れる体。
怪訝な顔して、真っ黒な目が私を映し出している。
それはどう見てもユウの姿だったけど…
「……」
さっき感じたものは、確かに不慣れなものだった。
「……ぇ…」
「…雪?」
待、って。
胸がざわつく。
「ッ…」
さっきから微かにざわついていた心。
その理由がわかった。
「…っ……誰、貴方」
これはユウじゃない。