My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
唐突な予想外の問い。
「…なんでそんなこと聞くの?」
何を求めて問いかけられたものなのか。
それがはっきりとわからなくて、つい問いに問いで返してしまっていた。
私にとってもユウにとっても大事なもの。
それは変わりないはず。
「私は私自身の気持ちで受け入れたから。嫌だなんて思ってないよ」
確かに"枷"なんて世間体からしたら、恋仲で持つようなものじゃないかもしれない。
でも迷いなき言葉でユウが私の為に縛って、与えてくれたものだから。
その応えに私も迷いなんてなかった。
「ルパンに何か言われた?…だとしたら何も気にする必要なんてないから」
数珠をルパンに盗られたと知っているなら、確実にルパンと接触したんだろう。
あの言葉巧みな策士に何を言われたのか。
意志の強いユウだから、変に誑かされないだろうとは思ってたけど…それも確実じゃない。
だけど、どんなに頭の切れる怪盗でも他人は他人。
これは私とユウの間にある気持ちだから。
「これは私自身の気持ち。ユウだったから抱えられた思い。そこに正解も不正解もないでしょ」
傍にあるユウの顔に手を伸ばす。
頬に添えるように優しく触れて。
私自身の想いなら、どんな形だって胸を張っていよう。
ユウやマリやクロウリー達のお陰で、そう思えるようになったから。
だから──
「何も心配しなくていいよ」
何が良いとか悪いとか。
思いに良し悪しなんて、誰かの定めが必要なことないでしょ?
あの数珠へのユウの思いの形は複雑で、それと全く同じ思いで身に付けられるかって聞かれたら、即答で頷けはしないけど。
…でもそれでいいんじゃないかな。
私は私の思いがあって、ユウにはユウの思いがあって。
そこで確かに繋がっていられているから。
きっと、それだけでいい。