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My important place【D.Gray-man】

第41章 枷



「何処行こうとしてんだ、お前」

「えっ……と、トイレ、に…」


 開けてもらった独房の扉から、一歩踏み出した状態で固まってしまっていたから。
 足早に歩み寄ったユウの手は、簡単に私の腕を捕まえてしまった。


「おい、面会の時間ならとっくに終わってるぞ! 帰──」

「煩ぇ。"教団"として用事があんだよ。黙ってろ」

「っ…」


 声を荒げる看守さんに団服の胸元に付いたローズクロスをユウが指し示す。
 途端にぐっと看守さんは押し黙った。

 おお…やっぱり巨大なヴァチカン組織を上に持つ教団の力は強いなぁ…。
 ……やっぱり今度、こっそりあのローズクロスのコピー取っておこう。


「それよりお前。あのルパンって泥棒に数珠を盗られたこと、黙ってやがったな」

「!」


 もうバレてる!

 負の感情を露わにして来た時点で、なんとなくその予想はしていたけど。
 やっぱりそうだよね。
 怒る原因なんてそれしかないよね。

 …ということはルパンに会ったんだ。
 ……もしかして数珠を取り返してくれたのかな。


「…ごめんなさい」


 とにかく一にも二にも謝らないと。
 あれは預かってるもの。
 ユウの大事なものであることは変わりないから。
 それを奪われてしまったことへの罪の意識はある。

 逃げる素振りは見せずに頭を深々下げれば、何も返事はなかった。

 どんな顔をしているのか。
 恐る恐る視線を上げて伺う。
 見えたのは、私をじっと真っ直ぐに見下ろす真っ黒な二つの目。
 無表情だけど、負の感情を表してるようには……見えない。
 …多分。


「…来い」

「え?…わっ」


 そしてそのままくるりと背を向けると、私の腕を掴んだまま歩き出した。

 え、何…っ

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