My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「いいから早くっ漏れますから!」
「ったく、ハイハイ。わかったから漏れる言うなって。今開けるから」
必死に頼み込めば、やれやれと看守さんが鍵の束を取り出しながらやっと了承してくれた。
この独房の中に簡易トイレは設置してあるけど、囚人がコソコソそこで脱走を試みたりしないように丸裸で置かれてある。
囲う為の壁なんて何処にもない。
そんな所で女の私が用なんて足せるはずもなく、トイレの時だけはこの牢から出してもらえていた。
「は…早くお願いします」
「そう急かすな。えーっと、確か牢の鍵は…」
なんでそんなジャラジャラ沢山鍵を付けてるのかなっ
思わずハラハラしながら急かしてしまう。
多分あの地下通路の出入口の向こうには、鬼がいる。
私とラビが恐怖で固まったことのある、あの鬼が。
鬼に見つかる前にトイレに避難したっていいよね少しくらいっ
「ああ、あったあった。これだ」
迷いながら探し出した鍵を、独房の扉の鍵穴に差し込む。
ガチャリとそれが回されると同時に、バタァンッ!と凄まじい音を立てて扉が開かれた。
「な…っなんだぁ!?」
独房の扉。
…ではなく。
「お前…ッ昼間面会に来てた…!?」
地下通路の出入口の重い扉が。
驚き声を上げる看守さんの目線の先には……ああやっぱり。嫌な予感は当たってしまった。
「…ュ……ユウ…」
勢いよく開いた扉の前に立っていたのは、最後に見た姿と同じ。
黒い団服に黒いコートを着た全身真っ黒な姿。
同じに黒く鋭い目をジロリと辺りに向けて、私を見るとピタリと止まった。
うわー…これはあれですね…私に用がある感じですかね…。
「あれっ神田さん!?」
「神田ぁ? なんだって此処に…まさかもう怪盗Gを捕まえたのかっ?」
「マジかよ!」
一斉に目を輝かせるジジさん達に対し、怖い顔したユウは無言のまま。
口をしっかりと結んだままツカツカと……ち、ちょっと怖いんでそんな無言で足早にこっち来ないで下さい!