My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「そんな脅しとも取れる申し出、受ける訳にはいきません…ッ!」
「あれ、いいの?」
それでも頑なに拒否するリンクに、仕方ないと最後の手段に出ることにした。
実際の映像を見せて泣き喚いてる姿を目の当たりにすれば、リンクも気持ちは変わるだろう。
いっつもリンクには監視されてる身なんですから。
偶には僕に貢献して下さい。
「ティムー」
そう言えばティムには国宝である王冠も持たせたままだった。
あれ、ガルマー警部に返さないと。
そう思い、振り返って傍にいるティムを呼んだ。
「ガァアアッ」
応えるように泣くティムの声。
──いや違う。
「ガァッ! ガァアッ!」
その鳴き声は応える為のものじゃない。
威嚇する時のティムの声だった。
近くにいるかと思っていたティムの体は、傍にはいなかった。
声を目線で追えば、少し離れた屋上の柵の上。其処に腰掛けた知らない男性の…その手の中にティムはいた。
え?
「へぇ~、おっもしれぇモン連れてんのなァ。これ生き物か? ロボット?」
真っ赤なスーツに、黄色いネクタイ。
黒に近い焦げ茶の髪に、特徴のあるひょろっとした顔。
小指を立てたその手がティムの尻尾を抓んで、ぷらぷらと振っている。
知らない男性。
だけどその顔は見覚えがあった。
それは──
「……ルパン?」
警察署の独房で出会った、銭形警部という人に見せて貰ったルパンの手配書。
それと同じ顔だった。