My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「ウォーカー……これは、まさか…」
「ん?…ああ。リンク、Gに乗っ取られてたんだよ」
「!」
体のあちこちを見下ろして顔色を青くするリンクに、にっこり笑って言えば、その顔は忽ち驚きに変わった。
「不覚! まさかGに乗っ取られるなど…!」
「まぁまぁ」
頭を抱えて落ち込むリンクに、宥めるように声をかける。
確かに普段のリンクなら隙なんて早々ないし。
体を簡単に乗っ取られるなんてない気もするけど…きっと王冠が飛ばされて、一瞬の隙が出来たんだろうな。
あの時は僕も心底ビビリました。
「ウォーカー、このことは報告書には記載しないように!」
「え? いつも事細かに情報は提供するようにって、コムイさんに言ってるのに?」
「っ…それは…」
いつも規律を厳しく守るリンクは、何かしら問題を起こす度にそれを上層部に報告しないコムイさんを責め立てていた。
コムビタンDによるゾンビ騒動の時もそうだったなぁ。
上層部への情報用にメモしていた日記を、コムリンEXに食べられて抹消されてたっけ。
でもリンクの気持ちもわかるから、報告は別に──……あ。
……。
どうしよう。
良いこと、思い付いちゃった。
「そういえばGに乗っ取られたリンク、凄い喚きながら号泣してたんですよね。多分ティムの映像記録に映ってるんじゃないかなぁ」
「な…ッ!」
「あ、大丈夫です安心して下さい。ちゃんと消しますから」
更に顔を青くするリンクに向かって、笑顔で人差し指と親指をくっ付けて輪っかを作る。
「リンクが映像を買い取ってくれるなら」
「ウォーカー貴様…ッ!?」
利用できるものは全て全力で利用すべし。
これ師匠の教えですから。
仕方ないでしょう。
こうでもしないと押し付けられた借金、一生働いても返し終えられないんですよ。
ぷるぷると震えながら凝視してくるリンクに、にっこにっこと笑いかけていれば、
「…金の亡者め」
そっぽを向きながら神田が低い声で、ぼそりと悪態をついた。
え?
何聞コエマセン。