My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「大丈夫だから! 落ち着いて! これは人間には利かな…わっ!?」
慌ててリンクの体で泣き喚くGに歩み寄れば、ふっとその体が崩れ落ちる。
咄嗟に脇に腕を差し込んで支えれば、意識を飛ばすかのように瞳を閉じた。
あ、もしかして。
「……ぅ……アレン・ウォーカー…?」
「リンク?…もしかして元に戻った?」
ゆっくりと再び開く目。
僕を映した切れ目が瞬いて、いつもの調子で声をかけてくる。
これ、普段のリンクだ。
だとしたら体からGが抜け出したのか。
「……君、何してるんです」
「あ。」
よかったとほっとしていると、自分の体に突き刺さったままの退魔の剣を見下ろして、今度はじとっとした目を向けてくる。
これは不可抗力だから。
というか別に怪我してる訳じゃないんだし。
痛くないからいいでしょ。
「Gの奴、逃げたか…どうだマリ。追えるか?」
「正体を暴く為とは言え、ちょっとやり過ぎたかな~…」
『いや、あれくらい取り乱して貰った方が見つけ易い。Gにもちゃんと感情があるみたいで助かった』
無線先のマリにぼやけば、くすりと笑って返される。
どうやらその耳で、姿の見えないGの足取りを追えたらしい。
『泣き声も特徴的で助かる』
…確かに。
あの泣き声は一度聞いたら中々忘れない気がする。
とにかく、これでGの後を追える。
今回の怪盗Gの捕獲方法。
それは僕と神田で乗っ取った人の体からGを追い出し、恐らく何処かに隠れているであろう、Gの本体に戻るのをマリの特化した聴覚で追ってもらう。
と、いうものだった。