My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
あまりのGの悲鳴の凄さに若干退きつつ、悪い気もちょっぴりしたけど仕方ない。
また誰かの体に乗り移られたら堪らないし。
今回はとにかく相手を追い詰めることが優先。
何故なら──
「うぇ…っ…──ぴっ」
「ぴ?」
ん?
やっと断末魔のような悲鳴が途絶えたかと思えば、震える声でGがリンクの口から発したのは変な音声。
今"ぴ"って言った?
「ぴぇっ」
「…ぴえ?」
「ぴぇええええええ~!!!」
「──!?」
え。
ま、待ってなんですかそれ。
……泣き声?
「リ…リンク…」
「痛いよーっ! 痛いよぉおお! ぴぇえぇえぇええ!!!」
うわ…大量の涙を滝のように流しながら、子供のように泣き喚く──…リンク。
姿は、リンク。
……これは色んな意味で痛い。
「痛いよぉおお! 死ぬぅうう!!!」
「い、痛くない痛くない!」
あまりに崩壊していくリンクの姿に、慌てて声をかけた。
流石にこれじゃあ、リンクが不憫だ。
「なんだこいつ。怪盗だなんて名乗ってる癖に小心者だな」
「お前達の所為だぞーッ!! この馬鹿ぁあ! 女みたいな顔してッ!!」
「……」
あ。
今イラッとしたな、神田。
呆れた顔でGを傍観していた神田の口が止まる。
仕方ないでしょう、女性にも間違われるような顔してるんですから。
男の美形なんて興味も何もありませんけど。
大体雪さんだって外見で人を好きになるタイプじゃないだろうに、なんだって神田なんか──って駄目だ。
今はそんな不満言ってる時じゃない。
すると無言のままでいた神田が、不意にツカツカとGに歩み寄っ…あ。なんか嫌な予感。
「ならその剣抜いてやるよ、オラ」
「ぎゃぁあああ!!! さッ触るなぁあ!! 人殺しぃいい!!!」
「こらこらこら! 神田!」
更に恐怖心を煽る神田を慌てて止めに入る。
まるで小さな子供を虐めるイジメっ子の構図だ、これじゃあ。