My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「いっいったぁ…!って、わぁっ!? ちょ…っ待っ!!」
弱音を吐きながらその場に崩れ落ちるGに、間髪入れず神田の猛撃が続く。
容赦なく繰り出される六幻の攻撃に、最初こそナイフで防いでいたものの。
僕の"道化ノ帯(クラウンベルト)"で両腕を一つに拘束されてる状態じゃ、Gが劣勢。
「うわっ!?」
「どうしたG、ガチの勝負は初めてか? 腰が退けてるぜ」
「いた…ッ!」
ビビビッとリンクの顔に幾つもの赤い線が刻まれていく。
ぶしゅっと血が飛ぶ様は……神田もどうやら本気で手加減していないらしい。
容赦ないなぁ。
ガキンッ!と体を捻らせて蹴り出す神田のブーツの先が、Gの鳩尾に入る。
「げぇ…ッ!」
後方に吹き飛ばされるG。
見計らって、左手のイノセンスを退魔の剣へと変えた。
真っ直ぐ突き出した退魔の剣に、飛ばされたGの体がぐさりと突き刺さる。
「あ……え…?…ナニ、これ…?」
その場に佇んだまま、腹部を突き出している大きな刃に目を剥くG。
「剣だよ。君は刺されたんだ」
だから丁寧に教えてあげることにした。
後ろから囁くように告げれば、サァッと顔色を青くしたGが──
「わぁぁあぁあああぁああ!!!!」
雄叫びに似た悲鳴を上げた。
「剣がっ! 剣が刺さっ!? わぁあぁあああ!!!!」
…凄い叫びだなぁ。
まぁそうだよね。
背後からお腹に巨大な剣が貫通してると思ったら、パニックにもなるよね。
でも、なんちゃってなんだけど。
僕のこの剣じゃ人間は傷付けられないから。
刺さってるけど刺さってない。
一種のピエロの手品のようなものだ。
冷静に考えれば痛みも何も感じてないはずだから、不思議に思うものだけど。
ここまでパニックになってたら、きっと気付けないんだろうなぁ。
「ぎゃあぁあぁああ!!! 剣がぁああうぎゃあぁあああ!!!!」
「……」
……凄い叫びだなぁ。