My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「君、まるで子供みたいだね」
怪盗としての濡れ衣を着せた本人だから、気にしていないのかもしれないけど。
でも人の不幸を心底馬鹿にするようなその笑い、僕は好きじゃない。
「僕は最低だと思うよ。君の所為でGにされた人達のこれからの人生、滅茶苦茶になるんだ」
パリ警察署の独房で、泣き叫んでいたジジさん達を思い出す。
その中で一人、泣き言を言うこともなく静かに混じっていた雪さんの姿も。
何も言わなかったけど、暗い顔をしていた。
最後には笑ってくれたけど、苦い笑みだった。
あの時の雪さんの姿を思うと、それを笑うGがどうしても許せない。
「君、最ッ低だよ」
だから吐き捨てた。
冷たい声で。
「……」
ぴたりと笑っていたGの声が止まる。
驚いたように見開く目。
でもそれは一瞬だけで、すぐに別の感情を露にした。
「っ…うるさいッ!!!」
僕の言葉が癇に障ったんだろう。青筋立てて一直線に向かってくるところも至極単純。
本当に子供みたいな性格だな。
『いけるか?』
「相手が鴉の体ならかえって加減しなくて済む」
「マリはそのまま控えて集中してて」
イノセンスを発動させて白いマントを纏う。
神田と背中合わせで構えると、先に僕が動いた。
ビュッ…!
マントから伸ばした"道化ノ帯(クラウンベルト)"で、こちらに辿り着く前にGの両腕を捉える。
「んお?」
その速さに気付けなかったんだろう。
両腕に巻き付けられた帯に気付かず、Gがきょとんと声を漏らす。
いくら戦闘能力の高いリンクの体でも、扱ってる中身の人間は恐らく戦闘経験のない者だ。
その証拠に、あちこち隙だらけ。
「うげっ!?」
にこりと笑って見せた後、一気に帯をしならせてGの体を屋上の壁に叩き付けた。
ガン!と激しく背中からぶつかった壁に亀裂が入る。
ごめん、リンク。
でも戦闘に特化してるなら体も鍛えてるはず。
だから許して下さい。