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My important place【D.Gray-man】

第41章 枷


 ✣

 怪盗Gが見えない力で他人の体に乗り移れるのなら、そうさせる前に止めなきゃならない。
 となればどうしても実力行使になってしまう。


「痛った…」


 声をかけるより先に蹴り飛ばしたGが、屋上のコンクリートの床に這い蹲ったまま呻き声を上げる。

 あの体もきっとGとは無関係の人のものなんだろうなぁ…そう思うと罪悪感もあるけど。
 でもごめんなさい、これしかGを捕まえる方法はないから。
仕方ないんです。


「ウォーカー、王冠は絶対傷付けないように。経費で弁償できる額じゃありません」


 ぱんっと拳を掌に叩き付けて戦闘へと意識を切り替える。
 隣で忠告してくるリンクに、そういえば国宝だったなぁと思い出す。

 "国の宝"なんて、一体幾らになるんだろう。
 …お金が関わると興味が湧いてしまうのは、師匠の所為だと思う。


「どれくらい?」

「クロス元帥の借金が笑えるくらい」

「死んでも傷付けない!!」


 何気なく問いかければ返ってきたとんでもない答えに、つい即答してしまった。

 あんなに膨れ上がった師匠の借金が笑えるだなんて。
 それ以上に怖いことなんて世の中にあるんだろうか。

 いや、ない。
 断じてない。


「なんだよお前ら…ケーサツ…?」


 床に這い蹲ったままのGが、弱々しく問いかけてくる。
 慌てふためいていないところ、まだその体はGに乗っ取られたままなんだろうな。


「違いますけど、君を捕まえようとしてるのは同じかな」

「…へぇ…」


 にこりと愛想よく笑って応えてみる。
 するとGは這い蹲った格好のまま、徐に王冠を握っていた手を──


「「あっ!!」」


 ぶんっと、呆気ない程簡単に王冠を暗い夜空に放り投げた。
 思わずリンクと声が重なる。


「経費が!」


 わかってます!

 リンクの叫びを背後に、放り出される王冠に向かって駆け出す。

 師匠の借金以上の多額の金額が空を舞ってるようなもの。
 取り落とせばそのお金は全て水の泡となってしまう。
 というか押し付けられる。
 只でさえ毎回悪夢に魘される程、ギャンブル代やら酒代やら女代やらの多額の借金を師匠に押し付けられているのに。

 そんな死より怖いこと、許す訳ないでしょうこの僕が!!

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