My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「ここどこ…?」
目覚めの開口一番。
朧気に辺りを見渡しながら開いたGの口は、唖然としたように呟いた。
「なっなんだよこの格好…!? オレどうしたの!?」
自分の姿を見下ろして驚く様は、演技をしているようには見えない。
なんだこいつ…さっきまでと雰囲気が違う。
まるで別人のようだった。
「なんだよこれぇ!?」
「またか…!」
"また"ってなんだ。
足を止めて驚くガルマーに、これが怪盗Gが捕まらない原因かと問いかけようとした時。
「はっはっはっはっはー!!!」
ついさっき聞いたものと同じ。
芝居がかった高らかな笑い声を耳にした。
はっとして顔を上げる。
声は美術館の屋上から。
「残念でしたね、諸君。ワタシは絶対捕まらないのだよ」
警察の照明でライトアップされているそいつは、確かに今俺が捕まえているGと同じ服装をしていた。
でも声が違う。中身は別の人間だ。
「なんか体中痛ぇし~!!」
そう泣き言を上げるとっ捕まえたGは、俺とのやりとりを覚えていないのか。
「どうなってやがる」
いつの間に入れ替わりやがった。
不穏な気配なんてもんは何も感じなかった。
思わず眉間に皺が寄る。
「では失敬♡」
「何…ッ?」
「あーっっ王冠が!」
「なんで!?」
笑いながらGが背後から取り出した物。それはついさっき俺が奪い返して警察に返した、あの国宝の王冠だった。
慌てふためく警察共と思わず目を疑う。
いつの間に奪いやがった。