My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
まだ状況把握のできてないGに向かって、軽く地を蹴る。
「な…なんだお前…っ」
ちんたらお喋りする気はねぇんだよ。
やっと目の前の俺の存在に気付いたGが顔を上げた時。地を蹴り跳んだ俺の足は、そいつの一つ目玉の顔面目掛けて繰り出していた。
ドゴッ!
鈍い音と共に、足蹴りした顔を水場に叩き付ける。
悲鳴一つ上げずに水場に沈んだGの体は、ピクリとも動かない。
よし。
「確保」
『……ちゃんと加減したか、神田』
いちいちうっせぇな。
気絶くらいさせていいだろ。
巻き上がった水飛沫で濡れた前髪を搔き上げて、後ろに払う。
握られていたままの王冠を六幻に引っ掛けて取り上げながら、Gのふざけた被り物にも手を伸ばした。
「待てぃい!!!」
ざばざばと足音荒く水場を踏む音が鳴る。
Gの被り物を引っ掴んで顔を上げれば、こっちに向かって指差しながら駆けてくるガルマーと警官達が見えた。
「あっ! お前昨日の美形! 此処で何してる! Gは警察のもんだぞコラァ!!!」
面倒なのに見つかったな…想定内のことだが。
「こいつは貰ってく。盗品は返してやるよ」
「わーっ! 投げるな国宝! 国宝!!」
「いやいや! Gも置いていかんかい!!」
六幻に引っ掛けていた王冠を弾いて投げ飛ばしてやる。
慌てて警官が国宝に飛び付く中、ガルマーだけは未だにこっちに向かって睨みを利かせていた。
それを無視してGを引き摺る。
とりあえずこいつの身ぐるみ引き剥がしてみるか。
「待てコラ美形! 共犯として逮捕すんぞ! いいのか!」
ギャーギャー喚くガルマーの煩い声が、後ろから追ってくる。
つか美形ってなんだ。
その単語は嫌いなんだよ、それで俺を呼ぶんじゃねぇ。
「…はれ…?」
「!」
朧気な声。
それは引き摺っていたGから発せられたものだった。
足を止めて振り返れば、引き摺っていたそいつの一つ目玉の仮面が外れている。
見えた顔は知らない男性のもの。
目ぇ覚ましやがったか。