My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「迷惑かけてごめん」
ファインダー失格だね、と呟きながら眉を下げる。
任務に対する姿勢は真面目な奴だ。
足を引っ張ってしまったと思い込んでるんだろう。
「…別に。俺が来たくて此処に来たんだ。迷惑だなんて思っちゃいない」
本来これは俺の任務じゃなかった。
自分で志願したんだ、迷惑だなんて思ってたら此処にいない。
「約束しただろ、任務後のこと」
俺に話したいことがあると雪は言った。
だから帰ったら一番に俺の所に来いと言った。
いくらでも待つとは言ったが、その内容が気になってしまうのも本音だった。
こいつがルベリエにまで逆らって口を開かなかったこと。
それはなんなのか。
じっとただそれをいつまでも待つくらいなら、この手で雪を此処から連れて帰る。
その方が手っ取り早い。
「ぁ……うん」
すると雪は俺の言葉に何を思い出したのか。俺を見上げた後、照れた様子でそわそわと視線を下げた。
……おい、それ別のこと思い出してんだろ。
そういや雪の体にも手を出し損ねたままだった。
「……」
そっちの"約束"を思い出して照れてんのか。定かじゃないが、照れる癖に硝子越しの手は離さず傍に居続ける雪に………………ムラッとした。
なんか。
「…お前、そういう姿を此処の連中には見せるなよ」
「そういう姿…って何」
再びかち合う目。
それは一瞬だけで、ぎこちなく横に流れる視線。
…それのこと言ってんだよ、阿呆。
触れていなくても満たされていたはずなのに、この時ばかりはその体に触れられないことにもどかしさを感じた。
どこもかしこも柔らかい雪の体は、無条件で俺を受け入れてくれているようで触れると落ち着くもの。
俺の心を静めて落ち着かせてくれるのに、同時にどうしようもない欲も持たせてしまう。
そんな存在が目の前にあるのに、直接触れることはできない。
…さっさと任務片付けて連れて帰るか。
こいつの為にも、俺の為にも。