My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「何故ルパンじゃないとわかる?」
訝しげな表情で喰い付いたのは、銭形と名乗っていた男だった。
気難しい顔で問いかけるそいつに、ガルマーが無言で予告状を差し出す。
「"本日0時きっかりに、国宝リージェントの元に参上する。怪盗Gより♡"……これのどこがルパンじゃないと、そう言えるんだ」
「その人を小馬鹿にしたようなキスマークは、怪盗Gが毎回予告状の最後に付けるもんだ。前回の予告状にはなかったからな」
予告文を読み上げる銭形に、余程怪盗Gに恨み辛みの思いを寄せているのか。嫌悪感丸出しにしながら、憎々しくガルマーが吐き捨てる。
見れば確かに、予告状の最後には真っ赤な紅を押し付けたキスマークがはっきりと付いていた。
「リージェントって…前回ルパンが盗り損ねた国宝だよね」
「そういやあん時、Gの奴ルパンにカマかけられてお宝横取りされてたからなぁ…そのリベンジなんじゃねぇのか?」
「…あり得るかも」
雪とジジの会話が本当のことなら、怪盗Gって奴は余程ガキっぽい思考の持ち主だと思える。
「ゴーストだなんて俺は絶対信じねぇからな…ッ根こそぎワッパにかけて犯罪集団として裁判にかけてやる!」
額に盛大な青筋浮かべて吐き捨てるガルマーは、余程非科学的なことを信じたくないのか。
「あんたらも邪魔するな! 怪盗Gは俺の抱えてるヤマだ、俺が捕まえる!」
噛み付くように捲くし立てる姿は、どう見ても取り合ってくれそうにない。
…仕方ねぇ、ここは一旦退くか。
「…わかった、すまない。迷惑をかけて」
俺と同じ考えに至ったんだろう。
苦笑混じりに頭を下げたのはマリだった。
「また面会に来るから」
「ええー! 行っちゃうんですかっ!?」
「おい、置いてくなよ!」
「ヤダーッ! 帰っちゃイヤーッ!!!」
「だ、大丈夫ですって。別で釈放の方法考えますからっ」
再びわらわらとモヤシの腰に縋るジジ達。
縋り付いてはいないものの、そいつらを見守る雪の顔にも不安の表情が見て取れた。