My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「え…まさか神田……知らないんですか?」
「おいおい、まさかだろーよアレン。あのルパン三世を知らない奴なんているはずないだろーっ」
「だから誰だってんだよ。テメェらだけで話進めんな」
「「……」」
カラカラと笑うジジを睨み付けてやれば、一層驚愕の顔に変わる目の前の連中。
…なんだその反応。
ムカつくからやめろ。
「ま…っまじか…! あのルパンを知らない奴がいるとは…!」
「はわぁ…天然記念物ですねぇ、神田さん…」
「寧ろ神田という存在そのものが天然記念物ですよ。蕎麦で生きてる人間なんですから」
「少しは世のことにも目を向けた方がいいですよ」
「…んだとテメェら…」
ジジとゴズはまだ譲歩するにしても、モヤシと監査野郎の言葉は聞き捨てならねぇ。
言いたい放題な連中に、ぴしりと空気に殺気を放つ。
「ル、ルパンはね、凄く腕の立つ泥棒なのっ普段はヘラヘラしてるけど切れる頭を持ってるから。接触する時は充分気を付けた方がいい」
そこに宥めるように慌てて声をかけてきたのは雪だった。
そのルパンとやらの説明を律儀にしてくる。
「なんだかラビみたいだな」
「…兎というよりはお猿さんかな」
「猿?」
マリの呟きに、しみじみと呟きながら。
なんだ、猿みたいな身のこなしの奴ってことか。
「とにかく気を付けて。そしてぜひともルパン逮捕お願いしますっ」
「え? ルパンもイノセンスの可能性があるんですか?」
「いや…それは…」
「ああ、そういや雪の大切なもん盗られたんだと」
大切なもん?
流石にジジのその言葉は無視できずに、思わず雪を見やる。
するとタイミングよく目が合った。
が、即座に逸らされた。
…おい。
「なんだ、盗られた大切なもんってのは」
「…そんな、大したものじゃないから…」
「大したもんじゃないなら、大切なもんなんて括りになんねぇだろ」
歯切れ悪く応える雪の反応は、気に喰わないものだった。
何隠してんだよ、言えねぇもんなのか。