My important place【D.Gray-man】
第41章 枷
「リンクさんも、なんかすみません」
「謝るなら任務中に色恋沙汰はあまり出さないよう、気を付けて下さい」
「以後気をつけま…え?…な、何を…」
「私は監査役を長年務めてきた身です。見ていれば貴女達の関係くらいわかります」
「ま じ で」
淡々と述べる監査野郎に、サァと顔を青くする雪。
雪との関係を堂々と公言するつもりはないが、別に隠す気もない。
だから回りにバレる度に焦るこいつの気持ちは、俺にはよくわからないものだった。
そんな雪と同じく驚いた顔をしたのはジジ。
眼鏡の奥の目ん玉かっ開いて、俺と雪を交互に凝視したかと思えば──
「か…かぁさぁああん!!」
泣いた。
ぶわっと。
「赤飯! 赤飯炊いてくれかーさん!!」
誰だ母さんて。
「み、認めねぇ…! こんな四六時中雪の頭叩いてるようなエクソシストに、うちの娘をやれるかよ…!」
お前が母さんか。
性別変わってんぞ。
「そう言うなよバズ…! そうかぁ…そうかぁ! 俺は嬉しいぜ…! あんなに周りに興味を示さなかった神田がなぁ…!」
おいおいと涙を噴水のように撒き散らしながらジジが泣き喚く。
「雪もなぁ…! あんなに周りに心開けなかった奴がなぁ…とうとう娘とバージンロード歩けるのか…!」
お前が父さんか。
なんだその家族構成。
「何話飛躍しちゃってるんですか…!? というか私ジジさんの娘じゃないから!」
「それで挙式はいつだ。ん?」
「無視!? 綺麗にスルーしないでくれません!?」
「わぁ、おめでたいですね~! オレ、雪先輩の婚式ならぜひとも和婚がいいです! 先輩の着物姿見てみたいなぁ」
「駄目だ! 認めねぇ! うちの娘が欲しけりゃ三つ指ついて土下座の一つでもしてみせろ!」
「だから…ってツッコミが追いつかないもう…!」
言いたい放題な科学班とファインダー連中。
そいつらに顔を赤くして頭抱える雪の姿が、硝子越しに映し出されている。
……なんだこの図。
つーかなんでテメェに土下座しなきゃなんねぇんだよ。
誰がやるかそんなもん。